ふむふむ

文法も構成も内容も気にせず、1時間で書くブログ

これから大事なのは「居場所」を持ちつつ挑戦していくこと

留学当初は日本人となるだけ喋らないようにしていた。せっかく海外に来たというのに、日本人とばかり喋っていては日本にいるのと変わらないからだ。海外に来たからには、外国人とたくさん喋って、できる限り早く英語を身に着けて、いろんな文化の違いを感じたい。
 
しかし残念なことに、留学先で一番英語を話せなかったのは僕だった。授業で話している内容を把握したり、クラスメイトの盛り上がりに交じったりするためには、英語のわかる日本人の力を借りるほか選択肢がなかった。
 
もちろん英語がわからずとも、ノリと勢いだけで会話が成立することもあるし、なんとなく親密度を上げることも可能だ。しかし小心者の僕にとって、それはほとんど不可能だったし、仮に何度か続けられたとしても、心が持たなくなることは目に見えていた。
 
また留学先では白人が大多数を占め、アジアの小国から来た僕らは文化的にも言語的にもマイノリティであった。同じテーブルに座っているのにもかかわらず、白人同士が現地言語を使用し続けることもあったし、毎日のように酒を飲み、歌を歌い、曲に合わせて踊るような文化にも嫌気が差すようなことも多々あった。
 
そんな環境下に置かれると、マイノリティはどういう行動を取るのか。答えは単純で、マイノリティ同士で固まるようになるのだ。つまり僕が一番恐れていた、日本人同士の仲良しこよしになっていくのだ。当然のごとく、日本人同士で話合うときにわざわざ英語で喋ることは少ない。
 
これでは文化交流が進まず、英語も上達しない。だから、その埋め合わせをするために、まだ仲良くなるのにハードルが低い、同じ違う民族のマイノリティとよく話すようになる。僕が属していたグループには日本人や韓国人、インドネシア人、ガーナ人などが居た。
 
そんなグループに属していても2ヶ月もいれば、ある程度英語がわかるようになってくる。現地の環境にも慣れてきて、生活リズムも固まってくる。仲良くなれそうな現地の人も大体わかってくる。
 
留学において一番大事なのは、ここからではないかと思う。というのも、現地人のコミュニティであれ、同民族のコミュニティであれ、居心地の良い場所ができてしまうと、そこから抜け出そうとする人は少なくなってくるからだ。居心地の良さにかまけて、そのコミュニティ以外の人とは関わらないようにするというのは、一番もったいないことである。
 
せっかく居場所があるのだから、そこを足場として新しいコミュニティに挑戦していく。これはとても建設的な挑戦のステップだと思う。何の策も後ろ盾もないまま挑戦をし続けてもそうは長く持たないが、自分のコミュニティである程度の能力と自信を身に付け、仲間を増やしていけば、外のコミュニティにも挑戦しやすくなる。たとえそこで上手くいかず、傷つくことがあっても、いつでも自分の居場所に戻ってくこれば良い。
 
僕はこれを繰り返していくことで、たくさんの現地の人たちとコミュニケーションを取れるようになったし、現地の文化を楽しむこともできるようになった。
 
これと似た話で、今「小さな経済圏」 が注目されているが、それは決して内輪のコミュニティにとどまることではないだろう。なぜなら、小さな経済圏にとどまり、排他的になってしまえば、資源はいずれ尽きてしまうからだ。小さな経済圏は能力と自信、あるいはノウハウを培うための場であって、そこで得られたことを外の経済圏に向けて発信(挑戦)していくことで、初めて持続可能なものになっていく。
 
だからこそ、これからの時代においては安心できる居場所を確保することはとても重要だし、さらに重要なのはその居場所の輪を少しずつ、ゆるやかに広げていくことだ。